「おい、待てよ!」



夜のムードある遊園地のメリーゴーラウンドの前で男の人が女の人の手を掴む。



「いや!だってあたしのこと好きじゃないんでしょ!

だから他の女の人と一緒にいられるんだよ」



「違う!」



叫んだ後、ヒロインの彼氏が彼女を包み込む。



「えっ……」



「これが俺の気持ちだから。

嘘じゃない」



「……本当に……?」



「うん、だから結婚しよう」



女の人が嬉し涙を流したところでタイミングよくエンディングテーマが流れる。



リモコンをテレビに向けて電源を消す。



「現実にこんな出来た話なんてあるわけねえっつうの」



ぽつりと呟いて下に降りて朝ごはんを食べに行く。



「おはよう」



「……おはよ」



「……朝ごはん、食べる?」



その声はやっぱり硬いままだった。



原因はわたしにあるって分かっている。



だってわたしは、