そう、拓はものすごく馬鹿なのだ。 いま勉強しているのも拓が赤点をとったから。 自慢じゃないけれどわたしは学年でも10位以内、クラスでは1位のいわゆる優等生。 反対に拓は学年で下から数えて10番目、クラスでは最下位の正真正銘の馬鹿。 「よくみてよ、下が違うでしょ?これはぎたいごってよむの」 「え?あ、ほんとだ。よくみると違う。漢字って難しいよな」 わたしはもう一度ため息をつく。