「やっと、終わったー」



教室に響く男子の声。



そう、卒業テストが終了した。




先生は試験監督に2回来た。




でも、話すことも目も合わすこともなかった。


帰ろうとした時、放送が鳴る。






「３年田口まりな至急生物準備室へ」









そう呼ぶ声は確かに先生の声だった。




何週間ぶりに聞くだろう




「なによ」


と小さく呟き生物準備室へ行く。




嬉しい気持ちを隠し切れず少しにやつく私。




自分でも気持ちが悪い。




仕事でも何でもいい。



先生に必要とされているだけで嬉しかった。





「失礼します」




入ると先生は一人だった。




「久しぶり」




先生はいつもの私にしか見せない優しい顔でそう言って近づいてきた。





「先生、会いたかった」



忘れようと努力した自分が馬鹿だ。



そんなの最初からわかってた。

無理だって。