しかし、私はふと我に返りごめんと言って席を立ちあがった。

「ななせは?」

「ななせは、もう帰ったぞ」

「あっ、そうなんだ。私帰るね」

「おい、お前、こんな大雨の土砂降りの中帰るのか?」
と指さす先を見ると雷は鳴り、前が見えないほどの雨が降っていた。

携帯には電車の遅延情報がいくつも入っていた。
「帰れないじゃん」
と言ってしばらく明日のテスト勉強をしていた。
気が付くと先生は部屋からいなくなっていた。

外はまだ天気は悪く、なかなか帰ることができなかった。

時刻は16時。
ガラガラと扉が開く。
先生は何も言わず自分の席に座り仕事をし始めた。

何もないのかと少しがっかりした。
時間はどんどん過ぎていくのに私たちは沈黙のままだった。
もしかしたら、さっきいきなり何も言わずにキスをしてしまったから怒ってるのかもしれない。と不安になった。

先生と言おうとしたとき

「あーもう、無理」
と急にパソコンを閉じ私が座っている席まで来て手を取り、薬品の並ぶ棚に私を連れていき、私の舌と先生の舌が絡み合った。

「どうしたの?」

と聞くと、
「一緒の空間にいるのにお前のそばにいることができないなんて無理だ。」
としっかりと私の目を見て言ってくれた。