2時間ほど美優とのショッピング。
両手いっぱいのワンピースや靴の入っている袋抱えて、仕事に必要なものを揃えた。
アクセサリーや香水も。今までの人生であまり欲しいとは思ったことがなかった。けれど不思議なもので環境が変われば、皆が当たり前に身に着けているものも欲しくなる。
その他にも私服も何軒かの店を見て回り、美優が選んでくれた夏物のワンピースを数着。目についたサンダルも買ってしまった。
その中の1着をお店で着てそのまま着ていくことになった。

「お客様~とてもお似合いですぅ~!
お客様スタイルもとってもいいし、身長も高いからこのワンピースがとても映えますねぇ~」

歯が浮くようなお世辞を店員はにこにこと営業スマイルを浮かべながらいう。
わたしはそんなに身長が高い方でもない。163センチ。平均より少し高いくらいだがそれさえも「手足が長いから実際の身長より高く見えるんですねぇ~」と言う。ショップの店員さんはキャバ嬢でも出来そうなくらい口の巧い人が多い。

肩の出ているふんわりとした淡いピンクのシフォンのワンピース。合わせて白いサンダルも買った。こんな女の子らしい服を着たことがなかったから、少しだけ気恥ずかしかった。
買い物を済ませ、美優はカフェに入ってお茶を飲むことにした。

夏らしい日差しが窓から入ってくる。店内は冷房が入っていて涼しい。外でもカフェでも夏らしい服を着た人々が思い思いの時間を過ごしている。

「さくら今日はほんと可愛い~」

からからと注文したミルクティーの氷をストローでいたずらにかき回しながら美優が言う。

「美優ちゃん、本当に今日はありがとうね!!お陰でいいもの沢山買えた~!あたしセンスないから助かる」

足をばたばたするとシフォンのワンピースがひらひらと揺れ、膝が少しくすぐったい。
光、わたしの姿を見たらなんて言うだろう。そんな思いを見透かしたように美優が言う。