「おいおいそんなところで座り込んでる暇はないぞ。さくら指名が入ってる」

と、光が顔を出す。
いつもと同じ優しく微笑む光。

「高橋3卓にさくら指名1名様だ。案内しろ」

「はいっ!」

すれ違いざま、光は「頑張った」と言った。


「深海が心配するような事じゃなかった。
あいつは、さくらは、自分で意味を理解しようとして、お客さんの気持ちも考えて接客できるやつだ」

「申し訳ありませんでした」

「お前が思う以上にさくらは強い。お前の気持ちもわかるけど、さくらを甘やかすのはこれからのさくら自身のためにならない」

「えぇそうですね」

「さくらは近いうちにこのお店のナンバー1になるよ。俺は確信してる。
あいつには生まれ持った華やかさと、この世界の女があんまり持ってねぇ稀有な上品さもある。その上で相手の立場に立って考えられる優しさもある。
ここでナンバー1になっていつか……」

「社長、さくらは確かに社長の言う通りの子だと俺も思ってます。
けれどそれと同時にあの子には……壊れたら治せないくらいの脆さがある
社長は……さくらを…あの人と同じようにするつもりですか…?」

「…………」