歯切れの悪い高橋と、光の視線の先。
そこに座っていたのは、初めてヘルプで着いた時わたしが泣いた席だった。光がいま考えていること、高橋はすぐにくみ取った。そして、わたし自身も…。
「浅井さんか…。
さくら行けるか?」
「だめっす。社長!あそこは……」
すかさずに高橋が止める。けれど光がわたしに聞いてきたということは、わたしを試しているということだ。勝ち誇ったような光に対して、さっき忘れかけていた怒りを思い出した。
「さくら、無理か?指名がいないんなら選ぶ権利なんてお前にないと思うけど
それにヘルプも立派な仕事だ。嬢同士が仲が悪いなんてお客さんには関係ない。俺たちの仕事は限られた時間でどれだけお客さんが満足して帰ってくれたか、だ。指名嬢がいる時間でも、ヘルプの子がいる時間でも」
挑発的な光の物言い。
わざと言ってるし、試されている。
深海は今日付け回しの仕事はさせてもらえない。ボーイのようにお酒を運んだり、灰皿を変えたり、洗い物だってしてる。そんな深海のためにわたしに出来ることを考えれば、答えはひとつだ。
「行きます!行けますからっ、あたし!」
再び光はにやりと笑い、高橋はまだ戸惑っていた。
「さくら、だいじょうぶか?なんかあったらすぐに呼んでほしい」
ホールを歩きながら、高橋が言う。
思えば、深海も高橋もずっとわたしを守ってくれていた。
でも不思議なんだ。いざ突き離された時に見えたものがたくさんあったこと。
そこに座っていたのは、初めてヘルプで着いた時わたしが泣いた席だった。光がいま考えていること、高橋はすぐにくみ取った。そして、わたし自身も…。
「浅井さんか…。
さくら行けるか?」
「だめっす。社長!あそこは……」
すかさずに高橋が止める。けれど光がわたしに聞いてきたということは、わたしを試しているということだ。勝ち誇ったような光に対して、さっき忘れかけていた怒りを思い出した。
「さくら、無理か?指名がいないんなら選ぶ権利なんてお前にないと思うけど
それにヘルプも立派な仕事だ。嬢同士が仲が悪いなんてお客さんには関係ない。俺たちの仕事は限られた時間でどれだけお客さんが満足して帰ってくれたか、だ。指名嬢がいる時間でも、ヘルプの子がいる時間でも」
挑発的な光の物言い。
わざと言ってるし、試されている。
深海は今日付け回しの仕事はさせてもらえない。ボーイのようにお酒を運んだり、灰皿を変えたり、洗い物だってしてる。そんな深海のためにわたしに出来ることを考えれば、答えはひとつだ。
「行きます!行けますからっ、あたし!」
再び光はにやりと笑い、高橋はまだ戸惑っていた。
「さくら、だいじょうぶか?なんかあったらすぐに呼んでほしい」
ホールを歩きながら、高橋が言う。
思えば、深海も高橋もずっとわたしを守ってくれていた。
でも不思議なんだ。いざ突き離された時に見えたものがたくさんあったこと。



