【完】さつきあめ

「え~…じゃあモエの白にしよっか。
てゆーかさくらちゃんみたいな子中々いないよね~
なんか嬉しいな…」

何が嬉しいのか頭の中にはてなマークがついたが、笑いかけたら入江は嬉しそうにモエの白を注文した。
シャンパンが着いてボトルかっこいいー!とはしゃいでいたら、入江はもっと嬉しそうにした。
シャンパングラスに注がれていくさまを見ていると、無数の泡が上にぶくぶくと上がっていって、照明に照らされてきらきらと光って見えた。

「ね、すごく綺麗だね!」

「本当に綺麗だな…」

呟くように入江が言う。

「さくらちゃんはずっと変わらないでいてね」

ずっと変わらないものなんてあったのだろうか。
水のように容易くお金も心も大切だった人への想いさえ流れていくこの世界で
そんな世界の海で変わりたくてもがいていた。それも過去のわたしで、永遠に変わらないものを求めていたのもわたしだった。
人の心も愛も変わりゆくものだったのにね。 思えばこの頃が1番楽しかったかもしれない。自分も周りも日々変わっていくものだって、知らずにいれたから。