「やだ、やめて…こんなのやだ……」

自然に涙がこみあげてきて、手足を無理やり動かそうとすると、朝日はわたしの唇に自分の唇を重ねてきた。

荒い呼吸とわたしの身体をまさぐる手は止まらない。
光りの下で、ただ貪欲に動く朝日は獣のようだった。

「ハァ…ハァ……」

「や…」

助けて、と思った瞬間
光と出会ったあの日を思い出していた。
ゆっくりと、あの情景が頭を回る。

名前は?

さくらです

さくら?

わたしの頭を撫でた、あの柔らかい微笑みが

「いたっ…」

それもすぐにかき消されたのは、朝日がわたしの足を無理やりこじ開けて、重苦しい痛みが自分の中に入ってくるのに気づいたからだ。
針よりもずっと大きい、そして鈍い痛みが自分の中を何度も何度も突き刺す。
何かがはじけ飛んだように、わたしは抵抗するのを諦めた。
わたしの上で小刻みに動く朝日は、まるで目の前のわたしがいない物のように、乱暴に抱いた。
カーテンの隙間から、空が見えた。
何も映さない漆黒の空。
朝日の呼吸と混ざって、雨音が聴こえる。さっきよりもずっと静かに時を刻んでいく。

う、と小さなうなり声をあげた朝日の動きが止まって
その欲望を全てわたしの中に吐き出した朝日が、わたしの上で果てた。

「っ……」

あなたに伝えたい事が沢山あった。
そのひとつも伝えられずに、あなたを傷つけ続けた。
あなたはきっといつかこの日の事を死ぬほど後悔する日が来るだろう。
そしてわたし自身も、苦しむのだろう。