「え?」

「奇遇だな。俺も夕陽への誕生日プレゼントずっと用意してたんだ。
ずっと渡せなかったんだけど、もう誕生日プレゼントってわけじゃあないけど」

光が手の中にある箱のリボンを開けて、アクセサリーケースを開けると、そこには

「これ…」

控えめなダイヤモンドの粒が中央について
パレードの光りに照らされてきらきらと輝きを灯す。

その指輪はどこからどう見てもただの指輪じゃなくて、まるで

「これ、一応婚約指輪なんだけど…」

「婚約…指輪…?」

指先がジンジン熱くて、そのくせ震える。
手に取ろうとしても指が伸びて行かなくて、いつかの言葉を思い出していた。

夕陽が解けない魔法を使って、ずっと俺に夢を見させてよ

いつか光が言っていた言葉。
その本当の意味はなんだったのだろう。

握られた手を強くきゅっと結び、光に尋ねた。

「光の夢は何?」

わたしの手を握る右手が強くなる。

「俺の夢は…ずっと…兄貴に勝つ事だった…。
俺はいつか七色グループよりもずっと大きなグループを作りたかった」

「七色グループより大きなグループを作れば、それは光が宮沢さんに勝ったことになるの?」

光の顔を見てそう尋ねたら、光は少し困ったように眉毛を下げて笑った。

「物事を勝ち負けで考えてる時点で俺の負けだったのかもしれない。
俺さ、いつか夕陽にずっと俺に夢を見せてよ、って言った事あったろ?
それはお前に特別な感情があったのも事実だけど、本当は使えるって思ってたんだ」