「ふふ」
小さく笑うと、光はハンドルを握りながら不思議そうな顔をした。
「あの日と同じだなぁって。出会ったばかりの頃、初めて一緒に遊びに行った時と」
「それ嫌いだった?」
「嫌いじゃないよ。美味しい、ありがとう」
変わったように見えても、光は何も変わらない。
もしかして、この1年でずっと変わってしまったのはわたしの方だったのかもしれない。
車内では明るい話しか出なかった。仕事の話は一切なくて、出会った頃の話とか、プライベートの話ばかり
わたしは努めてそうしていた。光ももしかしたらそうだったのかもしれない。
「うわぁー!シー!初めて!」
シーについても初めて行ったランドの時のように大げさにはしゃいだ。
そんなわたしを光は子供でも見るかのように優しい瞳で見つめていた。
わたしはそうすることで光が喜ぶのをもう知っていたから、更に大げさにはしゃいで見せた。
「はい、これ」
シーに入って光はすぐに大人気のクマのおそろいのカチューシャをわたしへ渡した。
「ふっ、光似合うよ!」
光もおそろいのをつけて、それもまたあの日と同じだった。
ランドより広いシーを駆け回って
キャラクターを見てははしゃいで、2人で何枚も何枚も写真を撮った。
アトラクションにも乗れるだけ乗って、待ち時間も苦痛に感じないくらい楽しかった。



