【完】さつきあめ

「それより美優ちゃんとさくらちゃんアフター入ってる?
入ってなかったら飲みにいかない?」

「はいはいー!あたし行きます~!菫さんと飲めるなんて感激~!」

「あ、あたしは…」

ついつい明日の事を考えてしまう。
接客にいまいち集中出来なかったのはそのせいだ。
わたし、なんだかんだ浮かれているんだ。

「菫さ~ん、さくら明日デートなんだって~!」

「へぇ、デート?いいわね。朝日と?」

「まさか!違います!!」

わたしは必死になり、否定した。
その様子を見て「焦りすぎ」と菫はクスクスと笑う。

「菫さん、やっぱり何か誤解してます」

「誤解なのかしら?
朝日とじゃないって事は光くんとかしら?」

この人、全部知ってる…。光の名前が出て確信した。

「菫さん~!社長のことも知ってるの~??あ、もぉ社長じゃないっか~!」

「うん。勿論。光くんの事もよく知ってるわよ。あぁ、光くんって言ったら、綾乃は元気?」

「綾乃の事も知ってるんですね~!
あ、さっき綾乃トリガーで飲んでるって言ってたぁ~!
菫さんもし良かったらトリガーで飲みませんか?綾乃もいるし~!」

「あ、それは是非」

「綾乃トリガーで飲んでるの?ひとりで?」

美優にそっと聞く。
美優はにやけた顔をして、わたしに耳打ちした。