【完】さつきあめ

誰の席に着いてもヘルプなんて勿体ないくらい、菫は異彩な輝きを放っていた。

「美優ちゃん、今日ずっと指名入りっぱなしだったね」

お店が終わり更衣室で着替えている美優に話しかけると、嬉しそうに微笑んだ。

「そぉなの!バイトの頃真面目にやってなかったわけじゃないけど、夜1本にしたらすごい指名増えた~!」

「そりゃ美優ちゃん元々人気あったし、休みの日に来ちゃうお客さんもいたしね」

「ね~!やっぱり毎日出勤するとお客さんの予定にも合わせられるし、それだけ指名も増えるんだね~!
今まではレギュラーの女の子のヘルプに着いてるのも気楽で楽しかったけど、やっぱり本指名嬉しいかな~」

実際レギュラーになってからの美優の成績はうなぎのぼりだった。
元々明るくて、可愛らしい美優は水商売に向いていると思ってたけど、あっという間に人気嬢になっていった。
辞めるの勿体ないと言ったところで意志の強い美優のことだ。時期が来ればだらだら水商売を続けるような子ではないと思った。

「さくらも最近すごいね~!全店舗でナンバー2とかすごすぎ!」

「全然ゆりさんには敵わないしね…」

「ん~…ゆりさんって1人1人のお客さんの単価がすごいみたいだね~!
THREEも客層はいい方だけど~、やっぱりONEに行くお客さんは桁違いのお客さんが多いみたい!
でもさくらも超頑張ってんじゃん!
今日もアフター?」

「いや…今日は…」

「珍しー、最近ずっとアフターも頑張ってたじゃん~!明日店休だからアフター行くのかと思ったぁ~!」

「うん…明日、実は光とディズニーシーに行くのっ!」

「え~~~!!いいなぁ~~!あたしもいきたーい!夢の国ー!
てか社長と仲良くやってんだね。あ、もぉ社長じゃないか、有明さん!」

「仲良く?なのかなぁ…。よくわかんないよ、付き合ってるわけじゃないんだし…」

「まぁ2人には色々あるんだと思うけど…」

美優もわたしは七色に残ったのは思うところが沢山あるのだろう。
実際わたしと光の関係ははたから見るともどかしい、らしい。