「綾乃さんもそう言ってた。
あんなに好きでたまらなかった奴だろう。そいつとずっと一緒にいることをさくらは望んでたわけでしょ?
まぁ南との事があったし、そいつに対して俺は全然いい印象がないから嫌だけど、そこはお前の気持ち優先だろ?」

「でも…」

「でも、じゃねぇよ。あいつは自分の店を出すために南を利用して、お前を捨てて、南も捨てたけど
結局は全部お前と一緒にいるためじゃん。そこまで好きなやつに想われてて、そいつのとこにいかねぇってのも俺には理解できねーわ」

捨てたとか、利用するとかよく平気で口に出せる。
まぁ実際涼の言う通りなんだけど。
言葉にすると光って案外悪い奴かもしれない。
わたしは最初から光にフィルターがかかりすぎている。

「それにそうした方がおっさんの為でもあるんじゃないかな?
さくらが中途半端な事をするとおっさんの事余計傷つけると思うんだけど」

「わかってる…そんなのわかってるよ!」

ついつい強い口調になってしまうのは、涼の言ってる事が最もだからだ。

「さくらさ、おっさんの事好きなの?」

そんな涼が次に信じられない言葉を口にした。
身体中の熱という熱が一気に上がるように、頭がくらくらとする。

「はっ?!そんなわけない!」

「さくらがそんなわけなくても、光ってやつの立場になってみりゃーいつまでも自分のところに来ないでおっさんのところにいりゃーそう見えても仕方がないと思うよ。
今まで何となくおっさんに邪魔されてお前らくっつけなかったんだろ。それならお前が選ぶ道って決まってんじゃねぇか」

きつい口調だけど、やっぱり涼の言う事は最もなんだ。