「ねぇ、さっきの話!」

「光はずっと朝日に従って生きてきた。まるで負い目を感じるように
でも今は違う…。光は本気で七色を潰そうとしてる。七色というよりも、朝日自身を…。
たしかに朝日の元ではなくて、光が独立したかったのは事実なの。でも…こんな形で…。朝日の持ってるもの、全てを奪うような…」

「それであたしに七色辞めろって言ってたんだ…」

「朝日と光は昔はこんなんじゃあなかった…。七色グループを作った時だって、こんな風に仲が悪かったわけじゃない…
光は本気で朝日の力になりたいと思ってたし、朝日は光の事を評価してた…」

「さくらさんのせい…?」

その名前を出したら、綾乃の目が大きく見開いて、わたしを見つめた。

「ごめん…由真さんから全部聞いたの…。さくらさんの事…」

真っ赤な目の綾乃。
苦しそうに顔を歪める。こんな風に感情をあらわにする綾乃を見たのも、やっぱり初めてだった。

「さくらが死んで、光と朝日の関係が悪化したの…。
あたしが光とさくらの仲を良く思わなかったのも、きっと光も朝日もあなたの事を好きになると思ったの。
いつかこんな日が来る事がずっと怖かった…。
そうしたら光と朝日はもっと争いあうことになると思った…。あたしはどっちの味方も出来ない…。
それに、朝日と光の間に挟まれたさくらが困る姿を見たくなかった…。
あたしはさくらも失いたくないの…」

綾乃は光と朝日の事、そしてわたしの事を思って、ずっと苦しんできたんだ。
だから悪役になってでも、わたしと光を引き離そうとしていた。
綾乃の事がずっとわからない日があった。でも今ならわかる。綾乃がずっとわたしを大切に思ってくれていたこと。