【完】さつきあめ


光が朝日を裏切った?こんな最悪な形で?

「事務所に戻る…」

朝日が低い声で言った。

「宮沢さ…」

「何でそんな顔してんだよ…」

「宮沢さんと光って………」

その時の、わたしへ笑いかける朝日は、今までに見た事のないくらい優しくて
今にでも消えてしまいそうだった…。
そしてすぐに表情を変えて、はっきりとした口調で言い切った。

「俺は七色を潰さない」

「朝日!!」

THREEから出て行こうとする朝日を、綾乃が引き止める。
その場に座り込りこみ、胸を両手でおさえる。
綾乃は泣いていた。 綾乃の涙を見るのは初めてだった。

「もう昔みたいに戻れないの?!あたしは嫌だ!こんな風に光と朝日が争いあう姿を見たくない!
昔みたいに…3人で仲良くしたいよ……」

綾乃の声は今にも消え入りそうだった。

「無理だろ…」

たった一言だけ残して、朝日はTHREEを後にした。

綾乃はその場にうずくまり、苦しそうに呼吸をしていた。
わたしが綾乃の方に駆け寄ると、綾乃は「ごめん…」と何度も呟いた。
綾乃は何も悪くないのに、何度も何度も謝った。

綾乃と光がしてくれた過去の話、朝日が話してくれた過去の話。その2つがリンクして、やっと3人の関係が繋がった。
3人は血の繋がった兄弟。
そしておそらく朝日だけが、腹違いなのだろう。

「綾乃ちゃん……」

「さくらの思ってる通りなの…。
あたしと光と朝日は血が繋がった兄弟なの…。でも朝日と光はお互いを…」