「いやぁ…びっくりしたなぁ」

「え?」

「君の初めて会った日からの変わりようと
今日は随分忙しそうにしてるじゃない?」

「そうなんです!実は今日初めて指名を貰って、偶然なのかわからないんですけど立て続けに指名が入って!!
本当に嬉しいですっ!」

アルコールのせいなのか。さっきのシャンパンのせいだったのか、多少ハイになっていたとは思う。子供のように全身を使って喜びを示すわたしに、ふふっと小笠原はやはり子供を見るように優しく笑う。

「見た目は変わったのに、中身はなんも変わんないんだな」

「…でもどうして…本当にわたしを指名してくれたんですか?」

「おかしなことを言うね。君が指名してくださいってこの間の最後に言ったんじゃないか」

あんな言葉が出たことに自分でもびっくりしていた。
そしてまさか、あの日のわたしの想いを汲み取り、今日小笠原が指名をしてくれるなんて夢にも思わなかったんだ。

「なんて、僕はやっぱり少し意地悪かな?
他の子を指名しているように、特に君を指名した理由はないんだ。
でも強いて言えば、あんなに真っ直ぐにに指名してくださいって言われたのは初めての経験だったかな…?」

「あの日…最後に何も言わなかったら後悔するかと思って」

「君は本当におもしろい子だね。
今日指名がたくさん入ったって言ってたけれど、君を指名するお客さんの気持ちが少しわかるかな」

「あの、今日はどっかに飲みに行ってたんですか?」

「今日は接待が入っていてね。双葉の方に。
帰ろうかなと思ったんだけどね、ふと君のことを思い出して少し会いたくなったんだ」

「ふと…ですか…」