「はぁ~~~~~…」
「何そのわざとらしいため息…」
「はぁ~~~~~…」
「だからなんだっつーのっ!」
ここはトリガー。
カウンター越しの涼が呆れるようにわたしにデコピンをした。
「いたっ…。DV男め…」
「どこがDVだよ。なんだよ、まだお店がやめれなーいとか嘆いてるの?」
「だってどうしていいかわかんないんだもん。
簡単に辞めれないよ…。一応わたしTHREEの顔って事になってるんだよ…。
指名してくれるお客さんだっているし…凛さんとゆいが辞めてお店は結局わたし頼りな部分もあるし…。
原田は相変わらずむかつくけど、店長はさくらちゃんは辞めないよね?って瞳をうるうるさせて言ってくるんだよ?!」
「言い訳つけてるだけで、お前が辞めたくないんだろ」
涼はグラスを拭きながら、はっきりと言った。
「お店のためとか、お客さんのため、とか言い訳つけてるけど
さくらが辞めたくないだけだろ」
「…なんで?」
何でこいつは見透かすようにわたしの気持ちが手に取るようにわかってしまうのだろう。
「お前がたとえ店のナンバー1だとしたって、辞めたってお店はどうにか回っていくもんなんだよ。
お前は結局なんやかんや理由をつけて、男のために辞めるまでその男の事は思っちゃいねぇんだよ」



