【完】さつきあめ

あたしは…。
あたしは一体どうだったんだろう。

THREEの売り上げの大半を凛とゆいとわたしで上げていた。
となれば凛とゆいが抜けた今、わたしにかかるプレッシャーは半端ない。

それでも光はわたしにお店を辞める事を望んだ。
でもそうしたらTHREEはどうなるの?と光に問えば、そんなのさくらに関係のあることじゃないと言った。

光は七色グループの社長。
わたしがTHREEを辞めること、経営者としては望ましくない事なのではないのだろうか。

それでも光は頑なに辞めろと言った。

逆に考えれば、光はもうわたしをお店の女の子として見ていない、ということにもなる。
それはわたしの望む事だったに違いない。
けれど、どうしてだろう。
どうしてこんなに心に引っかかるものばかりあるのだろう。

9月の半ば、わたしは未だにお店を辞める事を言い出せずにいた。
光はまるで急かすように毎日辞めて欲しいと言ってきた。
お店を辞めれば、光とも会えるようになる。辞めさえすれば光の中にある何かが解放されるのもわかっていたのに…。