「ううん、THREEはもう辞めさせてもらうことにしたの。
ずっと話し合いをしてたんだけど、最終的には会長からもオーケーはもらったのー…」

「え?!ゆい、THREE辞めちゃうの?!」

わたしの腕を握りしめる、ゆいの右手の力が少し強くなる。
眉を少し下げて、やっぱり悲しそうな顔をして笑う。
ゆいはどんな時もいつだって笑顔だった。
困っていても、悲しくても、笑顔になってしまう子だと今更になって知る。

「THREEを辞めるっていうか…水商売を辞めようと思ってるの…」

「え?!」

「ね、さくらちょっと更衣室で話せない?ここではなんだし」

ゆいはちらっと原田へ視線を送る。
やっぱり原田は不機嫌そうなままだった。
「行っておいで」と言ってくれたのは小林で、高橋は無言のまま私たちを見て頷いた。

ゆいに腕を引っ張られて、更衣室へ行く。
いつも破天荒で、少し強引で、でも人懐っこくて、そんなゆいに巻き込まれていくのは、実はそんなに嫌いじゃなかった。
本質的に、わたしはこの子が好きなんだ。
それは出会った時から今だって変わらずに。

更衣室の鏡台の前の椅子にふたりで座り、ゆいはじっとわたしの顔を見つめた。


そして深く頭を下げた。