「またいつか一緒にさくらとは仕事をしたいものだわ」
去っていく日の凛の笑顔は清々しいものだった。
そしてもうひとつ。
9月に入り、THREEに出勤したある日の事だった。
ホールで、小林と高橋と話をしている見覚えのある後ろ姿。
すぐに誰かわかった。
「ゆい?!」
「さくら!!」
わたしを見つけたゆいは出会った頃と変わらぬ笑顔で、わたしの元へと駆け寄ってきた。
ストーカー事件が起こった先月、ゆいは出勤してこなかった。それほど彼女にとってショックな出来事でもあったし、怖くなってこの仕事が出来なくなっても仕方がない。
もしかしたらもうこのまま会えないかな、そう思ってたゆいの笑顔がそこにはあった。
少し離れた場所で、不機嫌そうな原田が立っていた。
「ゆいだいじょうぶ?!」
「うん!だいじょうぶ!!
あたしのことより、さくら、だいじょうぶ?」
刺された腕を握りながら、ゆいが悲しい顔をする。
「あたしは全然だいじょうぶ!倒れたのもケガのせいじゃなくて血を見たショックのせいだって言ってたし!全然元気!」
「良かった…」
「ゆい、もしかして9月から復帰するの?」
ゆいは唇を噛みしめながら、首を横に数回振った。