何で突き放したと思ったら抱きしめて、今でもわたしを好きなような事を言うの?
光は一体何を考えているの?
それでも何故か涙が止まらない。
こんな自分勝手な事をいう、光の腕に抱きすくめられて、涙が止まらないんだ。

光はわたしの涙を指で拭って、唇に深いキスを落とした。

自分勝手なのはお互い様だったかもしれない。
光に彼女がいるのは知ってた。それでもわたしを抱きしめて、キスをしてくる光をいつだってわたしは拒めやしないんだ。

左手を光の背中に回すと、わたしは自分から光に再びキスをした。
何度も何度も、お互い求め合うようにキスをした。

いつだってこの自分勝手な胸に戻ってきてしまって、求められれば拒めない事知ってた。

わたしにキスを何度も何度もしてくる光の瞳が時々開いて、切なそうにわたしを見つめてくる。

「夕陽…会いたかった…ずっとずっと会いたくて…ずっとお前を抱きしめたくて仕方がなかった…」

狭い病室で、獣のように求め合う私たちははたから見れば異常だったのかもしれない。
でも何度も何度も願った。このまま、時間よ止まれ、と。

唇を光が離すと、一点も逸らさないままわたしをじっと見つめた。

「会わないように自分から避けてた。
俺、お前に会うと自分の感情がこうやって止められなくなるってわかってたから…」