ゆいは指名の席で楽しそうに笑っている。
その表情からは何を考えているのかはくみとれない。でも風間の事なんか頭の片隅にもないのだろう。
「俺にはちょっとわかんないかな…そこまで人にのめりこめるなんて…」
「…でも本当に人を好きになれば何をするかわからないですよね…」
「ゆいちゃん…今日風間社長に会ったんだって?」
「はい…同伴する約束してたらしいんですけど、会った時に倒産の話聞いて、奥さんとも別れてゆいと結婚しようって…。ゆいは冗談じゃないって突き放したっぽくて…」
「まぁ…ゆいちゃんにとってそれが仕事なわけだから…」
「ねぇ、風間社長はきっとそれが仕事だって理解出来てないと思う…。
なんかあたし…嫌な予感がして…」
「うん…、俺も連絡取ってるんだけど、携帯出ないんだ…。
後でもう一度連絡取ってみるよ!なんかわかったらさくらちゃんに連絡するよ!」
「諸星さん!ありがとう!」
その日の仕事はすんなりと終えた。
営業中は何も起こりはしなかった。
営業終了後、お店に来ていた原田と凛がホールで揉めていた。
「だからー、俺、今日は忙しいんだよー…」
「忙しいって…あんたゆいと付き合ってるんでしょ?!
何かあってからじゃ遅いでしょ?」



