「ゆい、今日1人で帰らない方がいいよ?てかしばらく1人になんない方がいい…」
「は?なんでー?なんでさくらにそんな指示されなきゃいけないのー?」
「風間さん、なんかやばいような気がする…」
「あんな親父になんかする度胸なんてないでしょ?今はお金もないわけなんだからー
あたしの心配なんかするより、自分の心配でもしたらー?」
そう言って、ゆいは再び携帯の画面の方を向いた。
「さくら、放っておきなさいよ…」
「でも…凜さん…何か嫌な予感がする」
「あたしから大樹に伝えておくわ。何とかしてくれるでしょ」
やっぱり凜は大人だ。
あんな事があったのに、仕事の事になればこうやって見えないところで対処してくれる。
当のゆいは何ともない感じで、呑気に携帯をいじりながら鼻歌を歌っている。
「もうずっとやばいってわかってたけどさ」
お店に来て、諸星はグラスを手に持ったまま項垂れていた。
「…諸星さんが落ち込むことじゃあないですよ…」
「いやぁ…風間社長にはお世話になった事もやっぱりあるからねぇ…。
離婚した際に家も奥さんの方にとられたらしい。まぁ当然といっちゃ当然だけど…
風間社長はゆいちゃんと本気で結婚するつもりだったみたいだし…」



