【完】さつきあめ

「いや…、涼くんだって人の事言えないよ…。
10代には見えないし…」

大人びた顔立ち。 背が高いのもあるのだろうか、涼は実年齢よりもずっと大人っぽく見えた。

「いや、さくら…のが…綺麗だから老けて見えた」

いや、だから一言余計。
この人は不器用にしか人を褒めれないのだろうか。

「俺も涼でいい。同い年なんだし、さくらもキャバ嬢でしょ?」

「そぉ!涼の嫌いなキャバ嬢」

「あんまりキャバ嬢っぽくないなぁ。
キャバ嬢ってもっと洗練されてるっつか」

「それってあか抜けないって遠回しに言いたいわけ?」

涼と目があって、顔を見合わせて笑った。
涼は大人びた雰囲気と対称的に笑うとくしゃっとなる笑顔を向ける。
わたしと同じだ。

「笑った顔がおんなじだね」

遥が私たち2人を交互に見て言った。
笑ったらくしゃってなる顔、あんまり好きじゃなかった。でも涼は笑うとすごく可愛かった。

「止めてくださいよぉ…。自分のこの笑顔あんまり好きじゃない…」

「俺は可愛いと思うけど。あんた無表情だと綺麗すぎだからか何か怖いし」

涼ははっきりと言った。
なんていうかぶっきらぼうと思えば、女の子がキュンとする言葉を何でもなく言って見たり、笑ったらギャップがあったり、不思議な人だけど、全然嫌な感じはしなかった。