「宮沢さんは大切な物をきちんと大切にする人だわ。
自分が一度決めた事ならブレたりしない、はっきりとした人」

ゆりと別れる。そう言ってすぐに行動に移した。
光は自分でした口約束さえ守ってはくれなかった。
けれどだからと言って、わたしの中の光への想いは消える事もなかった。

「逆に有明は、一見優しいけれど、自分の中の面倒ごとがあるとすぐに逃げる。
でも…それは有明の優しさかもしれない。
有明と宮沢さんどっちが上でどっちが下かなんてないけど…
さくらが本当はどっちが本当は好きだったかなんて、今になってはわからない事よ」

「それでもあたしは…」

「さくらが有明を好きだったって信じたい?
あなたのその考え方悪くないと思うわ。
人は結局自分の都合の良い真実しか信じたくないものね。
あなたが有明を好きなら、有明寄りの考えになるのもわかる気がするわ…」

由真の言う通り。
わたしたちは結局都合の良い真実しか信じたくないし、知りたくないのだ。
真実が知りたいと言っても、それが自分にとって都合の悪い真実だったら、知って後悔するのだ。わたしたちはなんて自分勝手な生き物なのだろう。