「さくらは何だかんだ宮沢さんと仲がいいのね」
綾乃の言葉に両手を振って否定する。
「無理無理!ないない!」
遠くで朝日が近寄る女の子の手を冷たく振り払う。
ゆいもそこへやってきて、何やらにこにこしながら朝日に話かけている。それを見ていたのは原田で、その原田を凛が見つめていた。
こんな小さな世界でも、遠くから見るとそれぞれの想いが交差して、なんだか切なくなる。
他の女の子と違って、物怖じのしないゆいは朝日に平気で話しかけていた。…もう才能だと思ってる。
「ゆいちゃん、宮沢さん狙いなのかしら。原田とも出来てるのバレバレなのに、節操のない子」
「あぁ、何か車の中でちょっかい出してみたけど全然動じなかったって。
宮沢さんが好きっていうより宮沢さんのお金に興味があるみたい。仕事しなくていいしーって言ってた。でも全然相手にされてないって笑ってた」
「なんていうか、苦手だわー…。
まぁあの子じゃ宮沢さんは無理だと思うけどね」
「でもゆいはあたしから見ても可愛いけどね。悪意がない」
「本人が悪意がなくたって、相手が嫌な気持ちになればそれはもう罪よね」
「案外綾乃ちゃんは宮沢さんの事もよくわかってるよね」
「あの人はあれでわかりやすいのよ。
好きになる女も、全部わかりやすい。ほんっと裸の王様。
でも宮沢さんは大切に思った物をストレートに大切にするタイプだから、光よりずっとわかりやすいよ」
「意外」
わたしの言葉に、綾乃は目を丸くする。



