「光くんなんかよりずっといいと思うけどね。
光くんの方がずっと女関係めちゃくちゃじゃない」
じぃっとゆいの顔を見つめる。
ゆいはわかってるのかわかってないのか、いつもと変わらぬにこにことした顔のまま、首を傾げわたしを見つめた。
「なぁに?」
「何でもないよ…」
「ま、あたしは暫く原田さんと遊んでるっ!結構金払いもいいし、凛さんが嫉妬してる姿見るのも楽しいしねっ!
あ、原田さんのところに行ってくるねー!」
そう言って、颯爽とゆいは原田の元へ行った。
遠くから観察していたら、ゆいの元へ行った原田を凜が視線だけで追いかけていた。
明らかに嫉妬している表情。
ああやって誰かを羨む時、わたしもああいう顔をしているのだろうか。
「なんだかなぁ…」
こういう場に来ても、男と女のドロドロの関係を見るのは正直辛かった。
皆から少し離れた場所で、缶酎ハイを飲みながらぼんやりと桜の花びらを見つめていた。
儚く散る、春の色。それが切なくて、一層綺麗に映った。
「いくら待っていても来ないよ」
「…宮沢さん」
わたしの隣で腰をおろし、缶酎ハイを喉に流し込む。
昼間だというのにひと際目立つ格好をしていて、今いち夜の住人臭さが抜けきれない。
左手につけられた腕時計のダイヤが陽の光に当たってキラキラと光る。
光と同じブランドの、違う型の腕時計がはめられている。



