「あ、知ってた?何となくだけど、会長はゆりさんもその元カノもそんなに好きじゃなかったんじゃないかなーって思う」
「何で…?」
「ん~、そりゃ好きは好きで大切だったかもしんないけどー。
あの手のタイプは自分から好きになった女しか本気で愛さない人だと思うよー。
そこが一途くさい。本当に愛した女がいると浮気もしないタイプだねっ!」
「そんな風に見えないけど…」
「あたしもせっかく拾ってもらったからちょっとちょっかい出そうとしたら、物凄い勢いで拒否られたー。あたしの事拒否る男ってそうそういないんだけどなー」
すごい自信。
てか、あの朝日にちょっかい出そうって…本当にゆいって…。
「ゆい、節操なさすぎ」
「あはっ。会長に近づこうと思ったのは、完璧お金目当てー!
あの人の女になったら仕事もしなくていいし、何でも好きな物買ってもらえそうだしなぁー。ゆりさん何であの人と付き合ってるのにあんな頑なに仕事してんだろ」
わたしにはゆりの気持ちが少し理解出来た。
相変わらずゆいのスタイルは理解出来ない。
ゆりが愛する人のお店でナンバー1で居続ける理由も、朝日にとって、相応しい女でいたいからだ。わたしも、わたしもそうだ。光に相応しい自分でいたかった。それがわたしたち夜を生きる住人にとってナンバー1というプライドなのだ。
ゆいは誰も愛してない。だから自由でいれるし、自分が置かれている立場も何も気にも留めない。それが果たして本当の強さだったのかは、わたしにもわからない。
「残念ながら、会長はさくらにべた惚れみたい」
「まさか…」



