「すいません、タイプじゃないんで」
きっぱりと言ったら「あはっ」と子供のように笑った。こういうところがモテる所以でもあるのだろうけど。
「奇遇!俺もタイプじゃなかったわー」
「あなたのタイプなんて知りませんけど、凛さんとゆいは随分タイプが違うように見えますけどー」
「まぁねー。でもさくらみたいに俺に全く興味ない女は利用価値のかけらもないから全然タイプじゃないなぁ~」
「いまさらっと最低な事言いましたよね?」
「ふふ~、そう~?
それにさくらに手を出したら会長から殺されかねないし
でも社長は喜ぶかもね」
「は?」
「さくらが会長の物になるより、俺の物になる方があの人にとってよっぽどマシでしょ」
「それって、どういう…」
問いただす前に、凜に呼ばれて原田は行ってしまう。
男と女の欲望渦巻く街で、お金や地位や快楽に溺れて、変わりたくなんか少しもなかったのに、気づけば少しずつ変わっていった。
でもこんな鮮やかな桜に囲まれていると、あの日見た鮮明な笑顔を思い出し、あの頃の何も知らなかった自分をふと思い出す。
この場所に立つ意味を、いつも思い出す。
「ゆい遅いよ~!」
「アハハ~寝坊しちゃったー。たまたま歩いてたら会長の車に拾ってもらったー」
2時間遅れて登場したゆいの傍らには朝日の姿があった。



