ぽろりと一粒涙が頬をつたう。
ゆりと付き合いながらも、何をいい加減な事をこの人は言っているのだろう。
けれど、朝日と同じくらい光も残酷な事をしている。
はっきりとした事は言わないで、いつも曖昧にはぐらかして、好きだと言ったのに、わたしではない誰かと暮らしている。

わたしを抱きしめる朝日の力は強くなる。
こんな時は、光と同じ熱い体温を持つ事にさえ恨みたくもなる。

「あなたは…一体…あたしにどうしてほしいの…」

「お前が泣く程有明の事が好きなら、お前は俺の女になってればいい」

「どうして…そうなるのよ…」

「お前は毎日俺の機嫌とって、俺の前で尻尾ふって、ただ俺の物でいればいい」

アクセサリーケースから指輪を取り出し、わたしの小指にはめる。
わたしを見下ろす朝日の瞳は氷のように冷たかった。