ナンバーなんて全然気にしない。その姿勢を貫き通すゆいは、先月THREEでナンバー3だった。ナンバー2がわたしで、ナンバー1は凛だった。
でもそれもただの順位で、売り上げだけで見れば、わたしたちはどんぐりの背比べだった。
誰が1番になってもおかしくはない。
全店舗で見れば、安定した売り上げを取れている女の子たちがいるお店だ。
圧倒的なナンバー1がいないからこそ、争いの起こりやすい環境でもあるとわかって、わたしがTHREEに移動になった理由が、ただ光と離れさせるわけではないかと感じる。

誰かの何かの思惑で、わたしたちは争わされてる、そんな予感がした。
THREEの顔となる女の子を作るために。

「疲れちゃうじゃんね、さくらも凛さんも」

パンケーキを頬張りながらそう言うゆいは、ナンバー争いに全く興味を示さない。
自分が望む給料が支払われるのならば、1番でも最下位でも同じだと笑う。

けれども何となく原田は圧倒的なTHREEのナンバー1をゆいにしたいんじゃないかなって思っていた。

何はともあれ、3月30日にわたしは19歳になる。
同じ3月に、光も27歳になる。
同じ街にいて、同じ場所で働いていても、わたしたちは偶然会う事もなくなって、返事が来ないかもしれない、と怖くて連絡さえ出来なかった。