ゆいの言葉には共感が出来ない。
ゆいから見れば、わたしだって光に遊ばれて必死になってる馬鹿みたいな女だからだ。
悪気がなく言ってるのは十分わかるんだけど。

「遊びって……」

「原田さんとはなんとなく?そういう関係になって。
凛さんの男だって聞いて、あーなんかそれってちょっと面白そうじゃんって誘いに乗っただけ。原田さん、あたしの事タイプなんだってー。でもあたしは全然遊びだよ?」

「いやいやそういう事じゃなくて…遊びとかタイプじゃないとかじゃなくてさ
あんまりそういう風に男と付き合うの良くないと思うよ…」

「何で?」

ゆいは笑いながらそう言った。
少しだけこの子の事が怖いと思った。

「何でって…」

「人の事真剣に思う気持ちなんて全然わかんないよー…。
ただあの凜さんがあたふたしてる姿見るのは楽しいかなー」

「だから人の気持ちを弄ぶのが良くないんだって…」

「はいはーい、さくらって本当に真面目なんだねー。
遊びも仕事も真剣になんかやってたら自分の身が持たないよー。
そんな事より早く帰ろうよー。疲れちゃったぁ」


何となく、THREEでも何かに巻き込まれる予感がしていた。
凛とゆい。そして原田部長。
考えただけで身震いがしそうだ。
けれど、確かに初めて見るるキャバ嬢タイプのゆいを意識していた。
誰かをライバル視しない。あくまでも自分のペースで仕事をしているゆいと、戦わなきゃいけない日が果たして来るのだろうか。
こんな日はいつも光に話を聞いて欲しかった。
けれど、いつも屈託なく笑い、わたしの名を呼ぶあの人は、ここには来ない。
夜のネオンの下で、いつだって光の事ばかり考えていた。
こんな感情も、ゆいは馬鹿みたいと笑うのだろうか。