凛は真剣に原田の事が好きなのだと思う。この世界で夜の男に恋をする女の子は驚くほど純粋な気持ちを持っている女の子が多い。
それに光を想うわたしは、凛の気持ちが少しだけわかる気がした。
たとえば仕事とはいえ、他のお店の子と仲良く喋ってる姿を見たり、親しそうにしている姿に不安を抱いたり、そんな小さな事で嫉妬してしまう気持ちがわかってしまうんだ。

「じゃあ、さくらとゆい。お疲れね」

「原田さんもオバさんの相手大変だー」

「ゆいっ!」

「へへ。本当の事を言っただけー!じゃあ、原田さん今日は凜さんがうるさそうだから連絡はしないでおくよー!明日かなんかでも家に行くねー。この間忘れ物しちゃってさー」

「あー…お前さぁ、アクセサリーとか忘れていくなよ…。
まぁ、じゃあな、また明日!」

ふたりはごく自然に会話をして、笑って別れた。
その会話を聞いただけで、周りにはバレバレなのに、何故隠そうとしないのだろか。
風紀なら風紀でいい、誰が誰と付き合っていようがわたしには関係ない。
光以外の男がどれだけ遊んでいても、わたしには関係のない話、のはずだったけど。

「ゆい…原田さんと付き合ってるの?」

ゆいはきょとんとした顔をして目を丸くした。

「へ?付き合ってないよー」

「だって…今の会話…」

「遊びだよ、あんなの。
あたしは凛さんみたいに夜の男になんか本気にならない。
馬鹿みたいだよね、あんなに必死になって、頑張ったって影では裏切られてるのに」