【完】さつきあめ


「さくらって何型?」

一緒にセットに入っている間も、ゆいはよく喋った。

「B型だよ」

「あたしO型!B型とO型って相性いいんだよ~!」

「へぇ…」

「ほらほら見て、この占いサイトー!
あたしいま占いにすごくハマってるのー」

そう言って携帯を見せてきた。胡散臭い占いサイトが画面に映る。

「ゆいちゃんこの間まではプロレスにハマってたでしょ。ほんとに飽きるの早いねぇ…で、今日はどういう髪形にするの?」

セットのお姉さんが呆れながら聞くと、ゆいは「テキトーでぇ」と答えた。

「またぁ?!」

「髪形なんか何でもいいよ」

「ほんと、困っちゃうなぁ…。さくらちゃんみたいに細かく自分のしたい髪形言ってくれると助かるんだけど…」

「そこはほら、プロだからー。
プロに任せる方が絶対似合う髪形にしてくれるでしょ~?

あ、ねぇねぇ、さくら星座はなに?」

なんというか、憎めない子だなって感じた。
それに彼女の下らない話は、何故か妙に居心地がいい。
わたしがそう感じるということは、男の人はもっと彼女の空気感に癒されるのではないかと思った。
特にキャバクラなんていう競争心の塊のような場においては。


「あたしは牡羊座!」

「へぇー、あたしは獅子座なんだ。同じ火の星座だから、対立する事あるかもね」

ふふっと、小悪魔っぽく笑う。
本当にころころと表情の変わる女の子だ。