「深海さんに聞いたけど、ゆいちゃんってお酒飲めないらしいよ」
「え?!お酒飲まないの?!」
あたしは驚き、はるなに聞き返した。
「うん。お客さんの席ではジュースかお茶しか飲まないんだって。
飲めないわけじゃなくてただ嫌いだから飲まないらしいけど。
それに口数も多いわけじゃないし盛り上げるタイプってわけでもないらしいの。
普通だったらお客さん怒るよね?仕事する気あるのかー?!って。
でもゆいちゃんはそれが良いらしい」
「それが天性のキャバ嬢気質なんでしょ。お嬢様風で可愛らしくて天然ってそれ聞いて納得したわ。ゆいちゃんの指名客ってかなり年配のお金持ってる人が多いらしいわよ。さくらと同じ客層ね。
ふわ~ってしてる女の子が実は1番モテたりするじゃない?
お客さんにお金使わせなくても勝手に使っていくって奴ね。
元はスナックで働いてたみたいだけど、そういう才能のある女の子スカウトするのが得意なわけだわ…」
「誰が?!誰がスカウトしたの?!」
言った後にまずいと思ったのか、綾乃が顔を曇らせた。
「有明…」
やっぱり、と思った。
レイもそうだったけれど、光は売れる女の子に鼻がきくと言っていた。
何となくスカウトと聞いた瞬間、光がスカウトしたんじゃないかなって思った。



