「原田さんが彼女の事見込んでるからって嫉妬は醜いですよ、凛さん」
そう言い放つと、凜は顔を真っ赤にして取り巻きを引き連れて更衣室から出て行った。
美優とわたしは顔を見合わせて、彼女を見た。
彼女は煙草の煙をふーっと天井に燻らせて、わたしたちを見て笑った。
「ウケる」
そう言って。
心から楽しそうに。
わたしがここの世界に入って初めて出会うタイプのキャバ嬢、ゆいとの出会いだった。
「あの…助けて?くれてありがとうございます…」
「えー…助けたつもりなんてないよー?
あのおばさんが1人でキャンキャン吠えて超ウケるからさぁ」
悪びれなく笑う。
アナウンサーのような綺麗な見た目と反して、笑うと子供っぽくなって可愛い子だと思った。
「びっくり~!超感激した~!
あの凛さんにあんなにはっきり物事を言える女の子がいたなんて~!あたしなんて凛さんが怖くて怖くて何も言えないよ~!
あっ。シーズンズから来た美優って言います~。よろしくね~!」
「あんなのただの老害ですって。
原田さんに色管理されて良い年して年下の子いじめて嫌な感じ。
あ。あたしはゆいです。よろしくー」
「えぇ?!ゆいちゃん?!」
美優はどうやらゆいという彼女の事を知っているようだった。
「THREEのゆいちゃんって、いますごく売れている女の子なんだよ?」
こそっと美優が教えてくれる。



