【完】さつきあめ


「美優ちゃーん、ほんとにありがとう!1人だと思ったし、すっごい不安だったんだよぉ…。
てゆーかTHREEでナンバー1になれるのかな…。さっき原田さんの前で啖呵切っちゃったけど…」

「だいじょーぶだよ!先月の店舗の売り上げだって、さくらはTHREEの女の子に負けてなかったし、今日だってシーズンズのお客さんいっぱい来てくれたじゃない!」

「それはそうだけど…やっぱり不安だな…」

「本当はね、はるなや綾乃やお店の女の子も何人かTHREEに来たがってたみたい。
結局あたししか許されなかったけどね~…まぁ店売りのある女の子は簡単に移動はさせれないかぁって感じで。皆さくらの事心配してたよ?」

「はるなちゃんと綾乃ちゃんたちまで…」

その話を聞いて、胸がジーンとしてしまう。

「へぇ、THREEでもナンバー1になろうとしてるの?クソ生意気ね」

その時、更衣室の扉が乱暴に開かれて
何人かの女の子たちが入ってきた。
中心にいた女の人がわたしを睨み、腕を組みながらこちらへ歩いてくる。

「美優も久しぶり。相変わらずぶりっ子で鳥肌が立ったわ!」

「凛さん…」

美優が凛と呼ぶその女は、あの引っ越しの時に話題に出ていたTHREEのナンバー1の女の子だ。
確か、原田と付き合っているという噂の。
それにしても意外だった。
凜はわたしより長身のスレンダーな美人といった感じだが、原田よりかなり年上に見えた。
付き合ってると聞いても、ふたりを並べて見たら妙なアンバランスさがあった。