何こいつ、二重人格?
お店に来た時と180度違う態度だ。
けれど、彼の言ってる事は正しいし、いつもセットに入ってる、遅刻なんて今までした事がない。けれど今日はセットもしてないし、遅刻をしたのも事実だから何も言えない。
「すいません…」
「まぁ明日から気をつけてね~。
深海さんや社長からすごい子って聞いてるんだからがっかりさせないでよ?」
いちいち癇に障る言い方をする男だ。
店長も胡散臭いし、お店を担当する原田も光とは全くタイプが違って、苦手だ。
ぷいっと原田に背を向けて、近くにいた高橋に声をかける。
「今日はごめん…。
明日同伴、小笠原さんと入ってるから。指名も沢山呼ぶし、THREEでも絶対にナンバー1になって見せるから」
高橋に言いながらも、原田に聞こえるように言ってやった。
原田はふっと笑い、すれ違いざま「噂どーり気の強いお嬢さんで」と小馬鹿にしたように言い捨てた。…やっぱり好きになれない。
「本当に美優ちゃんありがとう!」
シーズンズより少し広いTHREEの更衣室。
「いえいえ~、あたしはバイトの身なんでね、移動は結構簡単に出来るっぽいよぉ」
「本当はTHREE嫌だったんでしょ?だからシーズンズに移ったのに、結局戻らせた形になっちゃって…」
「いいんだってばぁ~ナンバー1がさくらなら働きやすいって!
それにさくらのヘルプにまわるのも好きだし、また一緒に働けて嬉しい」



