「た、たらし?!」

「あら良いことなのよ?
自分では何気なくとってる行動が人を惹きつけたり、どこか放っておけなくて守ってあげたくなるような壊れやすさも、ありがとうって素直に言えることも全部生まれ持った才能で、自分の強みになるのよ」

わたしにとって美優も綾乃も自分とは比べようのないくらい魅力的な女性だった。
そんな2人から褒められるのは素直に嬉しくて、少しくすぐったかった。

それから暫く3人でお酒を飲みながらお喋りをしていると


「綾乃っ?」

綾乃に声をかけた派手な身なりの男。
どうもこうも夜に生きる人間の胡散臭いこと。まるでテレビで見るホストのように
派手な男だった。アッシュ系の髪色ののきちんとセットされた髪に、鋭い瞳。深海や光とはまた違う夜の匂いがぷんぷんするような男だった。
でも2人ともまた違うタイプの男だった。

「宮沢………さん」

綾乃が呼んだその名前に耳を疑う。

きっとそうだ。いや、絶対にそうだ。それは予感だった。

バーカウンターに腕を乗せて綾乃の横で自信気に笑う。
流行りに疎いわたしにでもわかる分かりやすいブランドで身を包んで、手につけられた腕時計のダイヤが、手に持つグラスを揺らすたびお店の照明で揺れて上下にキラキラと光る。
全てを手にしたような顔をして、笑っている男が…。この人が…。