「いやーさくらちゃん初日からお疲れ様だねぇ~!
噂には聞いてたけど、本当にすごいねぇ~!うちのお店もさくらちゃんが入ってくれて安泰だなぁ~!!」
がはは、と豪快に笑う、店長だという小林は深海とは正反対の店長に見えた。
お店の女の子にはフレンドリーだし、笑顔を絶やさずにとにかく女の子を褒めまくる。
要は女の子の機嫌を取るのが上手なのだ。
わたしが捻くれてるだけなのか、少し胡散臭いと感じるほどに。
営業後、小林と話していると、原田がお店に入ってきた。
これは上に立つもののオーラというのだろうか。
光にも朝日にも感じ、小笠原やゆりにも感じた事がある。圧倒的な存在感。身長は男にしたら小さい方なのに、そこにいるだけで絵になる威圧感がある。
「さくら、お疲れ~」
出勤してきた時はちゃん付けだったのに、いつの間にか彼はわたしを呼び捨てにしていた。
「…お疲れさまです」
「いやぁ、部長、さくらちゃん本当にすごいですよぉ!
初日なのにすごい指名数です!」
小林の方が大分年上だと思うが、媚びるように原田にすり寄る。
…やっぱり胡散臭い店長。
そんな小林を原田は無視して、すぐにわたしに視線を移す。
「遅刻するとかありえねぇから。仕事する気ないなら今すぐに辞めてください。
それにTHREEはシーズンズと違ってセットに入るのが義務付けられてるから、必ずセットに入って。化粧もちゃんとしてきて万全な体調で仕事出来るようにしろ。
こんなんでよくシーズンズのナンバー1になれたね?」



