それぞれのコンセプトを考え、朝日はお店を作ると聞いた事はある。
シーズンズは白を基調とした店造りだった。
けれど、THREEはシーズンズとは全く正反対の赤を基調としてお店が作られていて、見るものが見れば毒々しい雰囲気を醸し出している。
店内はシーズンズよりずっと薄暗い。
でもその毒々しい雰囲気を不思議と嫌いではなかった。
「さくらちゃんおはっよ~ん!」
お店に入った瞬間声をかけてきたのは原田だった。
何度見ても部長には到底見えない童顔で、少し派手な大学生のようにも見えた。
「おはようございます…」
「高橋から遅刻するって聞いて心配したよー?!
あー、今日セット入ってないでしょ?
駄目だよ~、俺たちは夢を売る仕事をしてるんだからぁ~。せっかくの美人さんが台無しだよぉ!」
「はぁ…」
お店は平日なのに、賑わいを見せていた。
店内で流れるBGMひとつとっても、シーズンズより高級感がある。
そのフロアの中で、知った顔を何人か見つける。
「…!安井さん?」
「さくらちゃんのお客さんオープンから何人も指名で来てるんだよぉ?」
安井さんだけじゃない。
他にもよく見た常連さんたちが何人も席に座っている。
今日誰にも連絡を返していないのに…。



