「そうだよね。あたしが出勤しなかったら高橋くんの評価も下がるもんね…」
「なんだそれ。1人で拗ねてる奴に言われたかないね」
「なっ!」
「さくらはもう終わりか?お前そんな根性ない奴だっけ?」
「高橋くんにあたしの気持ちなんかわかんないよ!」
「ぜんっぜんわっかんねぇなぁ!
たかが男と引き離されたくらいで、拗ねてるお前の気持ちなんか。
俺はシーズンズが好きだったし、深海さんを尊敬してる。だからこそ、このグループでのし上がってやるつもりだ。今は力はないかもしれないけど、もっと上に行けるようになれば俺にだって権限が与えられるってもんだろ?そうしたら俺は深海さんをもっと上の立場にしてやる…。
さくらにはそんな気持ちないのか?」
高橋の言葉が胸にぐさりと刺さる。
それは昨日のわたしの姿だ。
光にすがりついた。あたしが圧倒的なナンバー1になるから、と。
宮沢さんが何も言えなくなるような女になるからって。
昨日言った言葉なのに、自分がそれをいかに軽視していたのか手に取るようにわかる。
わたしは結局いつも口だけ。
今だってそう、あの言葉は本当に光を助けたくて言った言葉じゃない。
その場限りの、光を引き止めるための口実だ。
だって結局わたしは立ち止まり、泣いてばかりいる。



