綾乃から?高橋に一体何を…。
ぼんやりした頭で昨日の事を再び考える。
考える事で再び光を思い出す。もうここまで来ると重症だ。

「綾乃さんから一通りの事は聞いた。お前今日出勤しないつもりだっただろ…」

何でわたしの思ってる事は全てお見通しなんだろう。

「あたしが出勤しようが、休もうが、高橋くんには関係ない事じゃない…」

「それが全然関係ない事じゃないんだな。
色々と混乱するだろうから、さくらが出勤するまで会長から口止めされてたんだけど、俺実は今日からTHREEの副店長なんだよ」

「は?!」

「と、いうわけで引き続きさくらの担当になったわけ。
異例の大出世だろ?まぁ、さくらの担当をしててさくらの売り上げが良かったから評価されただけなんだけど」

確かにそれは会社的にも異例の大抜擢であろう。
高橋はまだ七色グループに入って日が浅い。それでもわたしが見る限り、出世には貪欲な男になったと思うし、女の子を管理する能力もある。
けれど、深海が評価されない事と、ONEの店長だった原田が部長になった事も、全部全部朝日が動きやすい駒を、自分の思い通りに配置したようにしかわたしには見えなかった。
わたしが売り上げを上げた事で評価するなら、それは深海の昇進だ。
けれども朝日は深海をシーズンズの店長から移動はさせなかった。
深海は光を慕っている。朝日にとって、光を慕う人間は私情で上には上がらせないようにしているのではないかとさえ思った。