どんなに向き合いたくなくても、どんなに目覚めたくなくとも、朝は必ずやってくる。
眠ったのか、眠ってないのか、わからない狭間の中で、カーテンの隙間からわずかな光が漏れている事を確認し、始めたくない今日を迎えてしまったのに絶望していた。

重い体をベッドから起き上がらせて、リビングへ向かう。
リビングのテーブルの上には、光から貰ったネックレスとピンキーリングが置かれていた。
これは昨日、わたしがもうつけないと思いテーブルに置いた物だ。

乱雑に置かれているそれが、昨日の出来事を夢ではなかったと思い知らせる。

すぐに洗面所に行き、鏡の中に映る自分の姿を見つめる。

「うわー…ぶさいく…」

泣きすぎたせいだろうか。
二重の目が一重になっている。

誰かが言ってた事があるな、次の日目が腫れないように泣く時は目を擦らない事って。
でもそんな事さえ考える余裕がなく、昨日は子供のように泣きじゃくった。こんなに涙は枯れない物なのか、というくらい泣いた。

そんな事を考えながら、鏡の自分と向き合っていると、片方の目から涙がほろりと落ちた。

…あんなに泣いたのに、もう泣けなくなるほど涙を流したなんて嘘だよ。何度考えても、何度あの場面を思い出しても、思い出した分涙はとめどなく溢れてくる。

今まで我慢していた分が吐き出されるがごとく、ぼろぼろと両方の目から涙が零れ落ちた。

目からあふれ出る涙を拭うのさえ、もう疲れた。
顔を洗って、力無くソファーに転がり込み、そのまま携帯を手にした。
時刻はまだ午前。12時前。少ししか寝ていなかった事を知り、その後着ていた電話とラインを確認する。