「なんかお互い告白しあってるみたいで気持ち悪いわよ。あんたたち。
それにしても高橋の言うことも正解ね。あいつあんななりして女の子のことよく見てんのねぇ。
髪形は確かに前髪流した方がいいわね。それにさくらファイスラインも無駄なく綺麗だからセットする時はただの巻きおろしよりハーフアップかアップにするといいわよ」

「うんうん!あたしもそう思ってた!明日からセットさんにそう伝えるといいよ!
本当に美人羨ましいぜ…」

今日出会ったばっかなのに、自分のことのように親身になってくれる2人には感謝しかなかった。
いまにして思えば、わたしは本当に運が良かったのだと思う。
他人のために親身になってくれる2人に出会えたのだから。

「さくら、あたし着ないワンピース沢山あるからもらってくれる?」

「え?!綾乃ちゃん悪いよ…」

「本当に着ないのよ。
通販で買ったりして失敗しちゃったのもあるから。
給料出るまで新しいワンピース買うにしても高いでしょ?
着ないだけでタンスの肥やしになってるから良かったらもらってやってくれない?」

「綾乃ちゃん…ありがとうございます。
美優ちゃんもメイク道具こんなに沢山ありがとう。出会ったばっかなのにこんなに良くしてもらって、本当に嬉しい」

心からそう思った。
美優からもらったメイク道具をぎゅっと握りしめると、2人の優しさに嬉しくって自然に笑みが零れ落ちるんだ。

「やっべ…」

綾乃は煙草に火をつけながら顔を赤らめてそっぽを向いた。

「そういう趣味全くないのに今きゅんってしちゃったわ。
さくらのそれ天然?なんか有明の言うことが当たってるのも癪に障るんだけど、あんた本当に化ける気がするし、売れるような気もするわ」

「ね!
あたしも最初さくらが困った顔でワンピースと睨めっこしてるから気になっちゃって~!
さくらは天然のたらしだね!」