【完】さつきあめ

色々な事が辻褄が合う。
せっかく大きな看板をつけたのに、年が明けたら変わるって言ってた事
シーズンズが特集が組まれる雑誌でわたしが呼ばれなかった事
何も聞かされていなかった、突然の人事異動。
光も深海も、ずっと前からこの事を知ってた…?

「社長の担当じゃなくなったとしても、さくらが七色グループの女の子であることに変わりはない」

「でも、今までみたいに光に毎日会えなくなる…」

「担当が変わったって、毎日一緒に帰ってるんだろ?
それにお前たちは同じマンションに住んでる。大した問題じゃない」

大した問題じゃない。深海はそう言った。
けれど、嫌な予感がするんだ。この人事異動で、わたしと光の距離が遠くなってしまうんじゃないかって…。

「やっぱり嫌だ…。あたし宮沢さんに言ってくる…」

エレベーターから降りて、事務所へ向かおうとするわたしを深海は止めた。

「さくら…。お前は有明さんの立場が悪くなってもいいのか?」

「え?」

「事実はお前が思ってる通りだと思う…。
確かにお前の実力でシーズンズにとどまってるのは勿体ないとは俺も思う。
けれど、本当の移動理由は、お前と有明さんを引き離す事が1番の目的だと思う…」

「そんなの私事じゃん!…汚いよ!」

「それでも、俺たちのトップはあの人なんだ…。宮沢さんに従うしかない。
さくらがあんまり言う事を聞かないままだったら、有明さん…多分七色の社長じゃなくなっちゃうよ…」

「え?なにそれ…」