てっきりそういう系の雑誌ではナンバー1が特集を組まれると思ってたし、美優からもそう聞いていた。
けれどその撮影に呼ばれたのはわたしではなかった。
綾乃でも、はるなでもなく、11月にお店に入った、ありさちゃんという新人の女の子だった。
人の入れ替わりの多いこの業界で、わたしと同じ新人未経験で入ってきたありさは新人の中でも売り上げをひとつ飛びぬけていたことも確かで、お店側が期待してるのもひしひしと伝わってきた。

確かにわたしが新人の頃より物覚えも早く、要領も良い子だった。
別に雑誌に特集が組まれたかったわけではない。けれど自分が築き上げたナンバー1という地位が何の意味もないような勝手な疎外感に苛まれた。

それでも売り上げが誰かに抜かれそうでもなく、わたしはナンバー1のままだった。

いつもいつも話はわたしの知らないところで進んでいっていて、わたしの気持ちなんて置いてけぼり、1月の半ば、わたしは深海に営業終了後に呼ばれて、何故か事務所に連れてかれた。

事務所に女の子が行くなんてこと滅多にない。
飲み屋のビルの一角に七色グループの事務所はひっそりと入っていた。

「深海さん、なんなの~?」

「まぁ…行けばわかるよ…」

「やだなぁ…宮沢さんいる?」

「いるとは思うけど」

「嫌だぁよぉ~!行きたくな~い!」

深海の後ろをついてぶつぶつ文句を言いながらエレベーターを上がる。