目まぐるしく過ぎていく日々の中で、わたしが置き去りにした物は一体なんだったのだろうか。
あの頃は大切な物がありすぎて、その手でひとつひとつを守ることだけに必死になって、1番大切な物をいつも見落とし続けていた。

クリスマス過ぎの店休。光は約束通り1日時間を空けてくれて、普通の恋人同士のようなデートをする事が出来た。とはいえ、本当の恋人同士ではなかったんだけど。

わたしが望んだ通り普通の恋人がするようなごくごく有り触れたデートをした。
映画を見たり、冬の空の下、寒いねって手を口の息でふぅふぅしながらソフトクリームを食べたり、下らないお喋りをカフェでしたり、ぶらぶらと色々なお店を見たり

けれど、あの夜のように、デートが終わっても光はわたしに手を出してこなかった。
いつもと同じ、優し気な瞳でわたしを見つめる。

下らない事で笑い合えた。
あの日々のあの時間がどれほどかけがえのないもので、いつかそれさえ手に出来なくなるなんて夢にも思わなくて。
思えばあの頃が1番幸せだった。


12月と1月は忘年会や新年会があって、稼ぎ時だという。
12月に2日間だけ店休があって、それはあっという間に過ぎて、1月に入って忙しさの中で時間はあっという間に過ぎて行った気がする。

12月と違い1月は新年ということもあり、少し落ち着いた雰囲気を醸し出しており、人々はお正月が明けて忙しそうに平常の日々を取り戻しかけていた。


「この時期は団体が多いね~…」

この時期の団体客ってちょっと厄介。とぼそりと美優が愚痴る。
11月も12月もわたしがシーズンズのナンバー1で、2月に発売されるナイト情報誌ではシーズンズの特集が組まれるとミーティングで聞いた。