「光……これさ……」

バックの中から朝日から貰った指輪のケースを取り出し、光で渡す。
光は怪訝そうな顔をしてそれを受け取った。

「何これ?」

そう言いながらケースを開けた光の顔が曇る。
これね、って説明する前に光は口を開く。

「これ、宮沢さんから貰ったろ?」

「え?!なんでわかるの」

ふぅと小さくため息を吐いて、ケースをゆっくりとしめる。

「そりゃわかるよ。
宮沢さんの好きなブランドだもん。あの人が女にあげるブランドくらいわかってるよ」

「そうなんだ…。」

「あげる物までかぶるとかね。けど全然宮沢さんの指輪のが高価な物だよ」

「高価とか関係ない!
誰に貰ったかの方がずっと大切だから。正直困るよ、ゆりさんがいるのに、こんな物渡されたって。
それでさぁ、光にそれ…返しておいて欲しいんだ…。
もう宮沢さんにも電話で光に渡しておくって言っちゃったし…」

「まじかぁ」

困ったように手のひらの中のアクセサリーケースを揺らす。

「まぁ、わかった…」

「なんかごめんね…」

「まぁいいよ。その代わり、今日はここに泊まっていくからな」

「え?!」